. の学名もあるが、この種名の Moutan は牡丹の意である。そしてその属名の Paeonia は、Paeon という古代の医者の姓名に基《もと》づいたものである。牡丹根皮は薬用となるので、それでこの医者の名をつけた次第《しだい》であろう。
日本では牡丹の音ボタンが、今日の通名となっている。
古歌にはハツカグサ、ナトリグサの名があり、古名にはフカミグサの名がある。右のハツカグサは二十日《はつか》草で、これは昔、藤原|忠通《ただみち》の歌の、
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咲きしより散り果つるまで見しほどに
花のもとにて廿日《はつか》へにけり
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に基づいたもので、つまり牡丹の花の盛りが久しいことを称《たた》えたものだ。
一つの花が咲き、次の蕾《つぼみ》が咲き、株上のいくつかの花が残らず咲き尽《つ》くすまで見て、二十日《はつか》もかかったというのであろう。いくら牡丹でも、一|輪《りん》の花が二十日《はつか》間も萎《しぼ》まず咲いているわけはない。
中国では、牡丹《ぼたん》が百花《ひゃっか》のうちで第一だから、これを花王《かおう》と唱《とな》えた。さらに
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