う》、その花の華麗《かれい》に驚嘆《きょうたん》を禁じ得ない。
牡丹《ぼたん》に対し中国人は丹色《たんしょく》の花、すなわち赤色《せきしょく》のものを上乗《じょうじょう》としており、すなわち牡丹に丹の字を用いているのは、それがためである。また牡丹の牡は、春に根上からその芽が雄々《おお》しく出るから、その字を用いたとある。つまり牡は、盛《さか》んな意味として書いたものであろう。今はどうか知らぬが、昔は中国のある地方では、それが荊棘《いばら》のように繁《しげ》っていて、原住民はこれを伐採《ばっさい》し燃料にしたと書物に書いてある。
牡丹はキツネノボタン科に属するが、この科のものはみな草本《そうほん》であるにかかわらず、独《ひと》りこの牡丹《ぼたん》は落葉灌木《らくようかんぼく》である。草木《そうほん》なる芍薬《しゃくやく》に近縁《きんえん》の種類で、Paeonia suffruticosa Andr[#「Andr」は斜体]. の学名を有している。この種名の suffruticosa は、亜灌木《あかんぼく》の意である。また Paeonia moutan Sims[#「Sims」は斜体]
前へ
次へ
全119ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
牧野 富太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング