れがためにたくさんな種子がよく稔《みの》ることになっている。
ヒマワリの花は虫媒花《ちゅうばいか》である。昆虫が花の蜜《みつ》を吸《す》いに来て、花盤面《かばんめん》にあるたくさんな小花の上を這《は》い回ると、花が一度に受精《じゅせい》する巧妙《こうみょう》な仕組みになっている。これは他のキク科植物も同様である。
右に分業といったが、すなわち、花盤《かばん》上にある小花はもっぱら生殖を司《つかさど》り、周辺にある舌状《ぜつじょう》小花は、昆虫に対する目印《めじるし》の看板《かんばん》と併《あわ》せて生殖を担当《たんとう》している。こんな分業などが能《よ》く行われ、且《か》つ受精が巧妙《こうみょう》に行《ゆ》きわたり、また種子の分布《ぶんぷ》も巧《たく》みなので、キク科植物は地球上で最も進歩発達した花である、と評価せられている。そしてキク科植物は、他のいずれの科のものよりも勝《まさ》ってたくさんな種類を含み、はなはだ優勢である。
ヒマワリの姉妹品《しまいひん》にキクイモがあって同属に列する。その学名を Helianthus tuberosus L[#「L」は斜体].(この種名は塊茎
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