くき》が出て葉を着《つ》ける。そしてその胚には油を含《ふく》んでいる。
茎《くき》は巨大で、高さが二メートル以上にも達し、あたかも棒のようである。
葉は広くて、長葉柄《ちょうようへい》を具《そな》え、茎に互生《ごせい》しており、広卵形《こうらんけい》で三大脈を有して、葉縁《ようえん》に粗鋸歯《そきょし》があり、茎《くき》と共《とも》にざらついている。茎《くき》の頂《いただき》に一花あるものもあれば、また分枝《ぶんし》してその各|枝端《したん》に一|輪《りん》ずつの花を着《つ》けるものもある。また品種によって花に大小があり、その大なるものは直径およそ二十センチメートルばかりもあろう。
このヒマワリの花は、他のキク科植物と同じく集合花で、そのおのおのを学問上で小花《フロレット》と称する。すなわち、この小花が集まって一輪の花を形作っている。こんな集合花を、植物学上で頭状花《とうじょうか》と称する。キク科の花はいずれもみな頭状花である。つまり寄《よ》り合い世帯《せたい》、すなわち一の社会を組み立ている花である。そしてこの寄り合い世帯には、分業が行われてたいへんにこの花に利益をもたらし、そ
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