右属名の Helianthus は、これまた同じく Sunflower と同義で日輪花《にちりんか》を意味し、種名の annuus は一年生植物の義である。なぜこの花を日輪《にちりん》、すなわち太陽にたとえたかというと、あの大きな黄色の花盤《かばん》を太陽の面とし、その周辺に射出《しゃしゅつ》している舌状花弁を、その光線に擬《なぞら》えたものだ。
 中央に広く陣取《じんど》って並《なら》んでいる管状《かんじょう》小花は、その平坦《へいたん》な花托面《かたくめん》を覆《おお》い埋《う》め、下に下位子房《かいしぼう》を具《そな》え、花冠《かかん》は管状をなして、その口五|裂《れつ》し、そして管状内には集葯《しゅうやく》的に連合した五|雄蕊《ゆうずい》があり、中央に一本の花柱《かちゅう》があって右の葯《やく》内を通り、その柱頭《ちゅうとう》は二|岐《き》している。花の後《のち》には子房《しぼう》が成熟して果実となり、果中に一種子があり、種皮の中には二|子葉《しよう》を有する胚《はい》がある。春にこの種子を播《ま》けば能《よ》く生ずる。はじめ緑色の二枚の子葉《しよう》が開展し、その中央から茎《
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