味を惹《ひ》かないようだが、西洋人と中国人とはこれに反して非常に花香《かこう》を尊重《そんちょう》する。かの素馨《そけい》〔ジャスミン〕などは大いに中国人に好かれる花の一つで、市場で売っており、薔薇《ばら》の※[#「王+攵」、第3水準1−87−88]瑰《まいかい》(日本の学者はハマナシ、すなわち誤っていうハマナスを※[#「王+攵」、第3水準1−87−88]瑰《まいかい》としていれど、それはむろん誤りである)も同国人に貴《とうと》ばれ、その花に佳香《かこう》があるので茶に入れられる。ゆえに Tea rose の名がある。
[#「スミレの図」のキャプション付きの図(fig46821_09.png)入る]
サクラソウ
サクラソウはよく人の知っている花草《かそう》で、どんな人にでも愛せられる。またその名もよくつけたもので、まことにその花にふさわしい名称である。通常桜草と書いてあるが、これはもとより中国名すなわち漢名ではなく、単にサクラソウを漢字で書いたものたるにすぎなく、サクラソウには中国名はない。
そしてその学名は Primula Sieboldi Morren[#「Mo
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