レは今、いろいろのスミレの種類を総称するような名ともなっていれど、その中で特にスミレというのは、スミレ品類中一等優品で、濃紫色《のうししょく》の花を開く無茎性叢生種《むけいせいそうせいしゅ》の名であって、これを学名では、Viola mandshurica W[#「W」は斜体]. Beck[#「Beck」は斜体]. といっている。満州〔中国の東北地方一帯〕にも産するので、それで mandshurica(「満州の」という意味)の種名がついている。
そして日本にはスミレの品種が実に百種ほど(変種を入れるとこれ以上)もあって、これがみなスミレ属 Viola に属する。これによってこれを観《み》れば、日本は実にスミレ品種では世界の一等国といってよい。
スミレ、すなわち Viola mandshurica W[#「W」は斜体]. Beck[#「Beck」は斜体]. は宿根草《しゅっこんそう》で、葉は一|株《かぶ》に叢生《そうせい》し長葉柄《ちょうようへい》があり、葉面《ようめん》は長形で鈍鋸歯《どんきょし》がある。葉と同じ株《かぶ》から花茎《かけい》を抽《ひ》いて花が咲くのだが、花は茎頂《けい
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