。そしてその根皮《こんひ》が、生時《せいじ》は暗紫色《あんししょく》を呈《てい》している。茎《くき》は直立して六〇〜九〇センチメートルに成長し、梢《こずえ》はまばらに分枝《ぶんし》している。葉は披針形《ひしんけい》で尖《とが》り、無柄《むへい》で茎《くき》に互生《ごせい》し茎と共《とも》に毛があり、葉面《ようめん》は白緑色《はくりょくしょく》を呈《てい》している。梢枝《しょうし》には苞葉《ほうよう》があって、その苞腋《ほうえき》に一|輪《りん》ずつの小さい白花が咲くから、緑色の草中にあってちょっと目につく。花のもとの緑萼《りょくがく》は五|尖裂《せんれつ》し、花冠《かかん》は高盆形《こうぼんけい》で花面《かめん》五|裂《れつ》し輻状《ふくじょう》をなしている。花筒内《かとうない》に五|雄蕊《ゆうずい》と一|雌蕊《しずい》とがあり、花柱《かちゅう》のもとに四耳《しじ》をなした子房《しぼう》がある。
果実は小粒《こつぶ》状の堅《かた》い分果《ぶんか》で、灰色を呈《てい》して光沢《こうたく》があり、蒔《ま》けば能《よ》く生《は》えるから、このムラサキを栽培することは、あえて難事《なんじ》で
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