興味のあるもので、ナデシコなどもその例に漏《も》れなく、もしも今昆虫が地球上におらなくなったら、植物で絶滅するものが続々とできる。
 花の時の子房《しぼう》は緑色で、その上縁《じょうえん》に狭小《きょうしょう》な五|萼片《がくへん》がある。花後《かご》、この子房《しぼう》は成熟して果実となり、その上方の小孔《しょうこう》より黒色の種子が出る。
 地中に直下する根は多肉《たにく》で、桔梗根《ききょうこん》と称し※[#「ころもへん+去」、第3水準1−91−73]痰剤《きょたんざい》となるので、したがってこの桔梗《ききょう》がたいせつな薬用植物の一つとなっている。春に芽出《めだ》つ新葉《しんよう》の苗《なえ》は、食用として美味《びみ》である。

[#「キキョウの図」のキャプション付きの図(fig46821_04.png)入る]

     リンドウ

 リンドウというのは漢名《かんめい》、龍胆の唐音《とうおん》の音転《おんてん》であって、今これが日本で、この草の通称となっている。中国の書物によれば、その葉は龍葵《りゅうき》のようで味が胆《きも》のように苦《にが》いから、それで龍胆《りんどう》
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