》を小皿に見立てたものである。そして属名の Narcissus は麻痺《まひ》の意で、それはその草に含まれているナルキッシネという毒成分に基《もと》づいたものであろう。
水仙《すいせん》の花は早春に咲く。すなわち地中の球根《きゅうこん》(球根は俗言《ぞくげん》で正しくいえば襲重鱗茎《しゅうちょうりんけい》)から、葉と共《とも》に花茎《かけい》(植物学上の語でいえば※[#「くさかんむり/亭」、第4水準2−86−48]《てい》)を抽《ひ》いて直立し、茎頂《けいちょう》に数花を着《つ》けて横に向かっている。花には小梗《しょうこう》があり、もとの方にはこれを擁《よう》して膜質《まくしつ》の苞《ほう》がある。そして小梗《しょうこう》の頂《いただき》に、緑色の子房《しぼう》(植物学では下位子房《かいしぼう》といわれる。下位子房《かいしぼう》のある花はすこぶる多く、キュウリ、カボチャなどの瓜《うり》類、キキョウの花、ナシの花、ラン類の花、アヤメ、カキツバタなどの花の子房はみな下位でいずれも花の下、すなわち花の外に位《くらい》している)があり、子房の上は花筒《かとう》となり、この花筒の末端《まったん
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