、これをヨシノユリか、あるいはリョウリユリと呼んだならきわめてよいと思われる。ヤマユリの名は、なんとなく土臭《つちくさ》い感じがして、いっこうに上品に聞こえない。
 このヤマユリは日本の特産で、中国にはないから、したがって中国名はない。日本の学者は『汝南圃史《じょなんほし》』という中国の書物にある天香百合をヤマユリだとしていれど、それはむろん誤りである。
 ヤマユリは、輸出向きには一等重要なユリである。従来非常にたくさんなこのユリ根が外国に輸出せられたが、これからも漸次《ざんじ》にその盛況《せいきょう》を見るに至るであろう。
 ササユリは、関西諸州の山地には多く野生《やせい》しているが、関東地方には絶《た》えてない。しかし関西の地でも、あまり人家には作っていない。茎《くき》は九〇〜一二〇センチメートルに成長して立ち、なんとなく上品な色を呈《てい》し、花も淡紅色《たんこうしょく》で、すこぶる優雅《ゆうが》である。前記のとおり、このユリにもヤマユリの名があり、またサユリという名もある。サユリはサツキユリの略されたもので、それは早月《さつき》(旧暦の五月、今日《こんにち》では六月に当たる)のころに花が咲くからそういうのである。
 カノコユリは、きわめて華美《かび》な花が咲く。花色|紅赤色《こうせきしょく》で、濃紅色《のうこうしょく》の点がある。日本のユリ中、最も優《すぐ》れた花色を呈《てい》している。このユリは四国、九州には野生があって、いつも断崖《だんがい》の所に生じている。ゆえにその茎《くき》は向こうに突き出《い》で、あたかも釣竿《つりざお》を差し出したようになっており、その先に花が下向いて咲いている。ゆえに土佐《とさ》〔高知県〕では、これをタキユリというのだが、同国では断崖《だんがい》をタキと称するからである。変種に白花の品と淡紅色《たんこうしょく》の品とがあって、その淡紅色のものをアケボノユリ(新称)といい、白花のものをシラタマユリと呼んでいる。これは共《とも》に園芸品である。
 テッポウユリは沖繩方面の原産で、筒《つつ》の形をした純白の花が横向きに咲き、香気《こうき》が高い。このユリを筑前《ちくぜん》〔福岡県北東部〕では、タカサゴと呼ぶことが書物に出ている。そしてこのテッポウユリは、輸出ユリとして著名《ちょめい》なもので、その球根が大量に外国に出て行く。
 サク
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