方の総名である。
かのアケビのバスケットはミツバアケビの株元から延び出て地面へ這った長い蔓を採ってつくられる。普通のアケビにはこの蔓が出ない。
ミツバアケビの実の皮は鮮紫色ですこぶる美しいが、普通のアケビの実の皮はそれほど美しくはない。熟したアケビの実の皮は厚ぼったいものである。中の肉身を採った残りの皮を油でイタメ味を付けて食用にすることがあるが、なかなか風雅なものである。
[#「アケビ(Akebia quinata Decne[#「Decne」は斜体].)の果実」のキャプション付きの図(fig46820_05.png)入る]
アカザとシロザ
世間の人々、いや学者でさえもアカザとシロザとを区別せずに一つに混同してアカザと呼んでいるが、これはその両方を区別していうのが本当で正しい。しかし元来この二つは共に一つの種すなわち species の内のものであるから両方がよく似ている。シロザが正種で学名を Chenopodium album L[#「L」は斜体]. といい、アカザがその変種で Chenopodium album L[#「L」は斜体]. var. centrorubrum Makino[#「Makino」は斜体] といわれる。このシロザは原野いたるところに野生しているが、アカザは通常圃中に見られ、あまり野生とはなっていないのが不思議だ。これは昔中国から渡り来ったもので中国の名は藜《レイ》である。また紅心|灰※[#「くさかんむり/櫂のつくり」、第3水準1−91−33]《カイテキ》、鶴頂草、臙脂菜《エンジサイ》の別名もある。
アカザの葉心は鮮紅色の粉粒を布きすこぶる美麗である。そしてその苗が群集して一処にたくさん生え嫩《わか》き梢《すえ》を揃えている場合は各株緑葉の中心中心が赤く、紅緑相雑わって映帯し圃中に美観を呈している。
茎はその育ちによって大小があるが、それが太くて真直ぐに成長したものは杖となる。中国の書物にも「老フル時ハ則チ茎ハ杖ト為スベシ」と書いてある。すなわちこれがいわゆる藜杖《れいじょう》でアカザの杖をついておれば長生きをするといわれる。
アカザはまた一つにアカアカザともオオアカザとも江戸アカザとも、またチョウセンアカザとも称する。そしてアカザの語原は判然とはよく分らないが、そのアカは無論赤だが、ザはどういう意味なのか。書物に赤麻
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