たらどうだ」
平吉も一男も思わず山田の顔を見つめた。この人の返事一つで運命がきまるのだ。
ずばぬけて背の高い山田は、見下《みおろ》すように一男を眺めていたが、遠慮なしにはっきり答えた。
「こんな子供じゃ役に立ちません。いれるだけ無駄です」
「だが、山田さん、柄は小さいけど――」
平吉がせき込んで言いかけるのを監督がとめた。
「石山、山田がいけないというものを雇《やと》うわけには行かないよ。じかに使うのは山田なんだからな」
平吉も一男も口をつぐまなければならなかった。
山田は、実は自分の知合《しりあい》を一人いれたかったのだ。折を見て監督に頼もうと思って、まず見習が一人いるということをほのめかしておいたのだ。一男をここで雇ったら自分の計画が駄目になってしまう。
ちょっとの間、四人は気まずい思いで突立《つった》っていた。
「石山、気の毒だが仕方がない。さア、二人とも仕事にかかってくれ」
「平さん、わるく思わないでくれ。この年じゃまだ無理だよ」
山田がまず立ち去った。
石山親子も監督に礼を言って、その場を去るほかなかった。
二
十七といっても一男は、両親のお蔭で中学
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