キるといふことを知つてゐる。何故不道徳であるかと云へばそれは人道と個人に対する向上でないからである。彼は又二個の未婚者が子供に生命を与へる時、自然はその子供に立派なる天賦の力を授けて『情熱』に報ゆるものであるといふことを知つてゐる。自然はこの『情熱』なるものを通じて神秘なる目的を追及してゐる様に見える。それは義務の観念といふが如きものゝ到底よく行ふところではないのである。
 故に最も重要なることは吾人が精細に自然を研究し尽した後に吾人の権利の観念を自然と調和せしむるが如く計ることがある、単に道徳的観念にのみ囚はれ、明らかに自然に反対して無条件に自然を圧服せんとするは不必要である、より[#「より」に傍点]高き恋愛の修養は克己を恋愛と親たる責任[#「恋愛と親たる責任」に傍点]に結び付くることによつてのみ達せられるであらう。恋愛と親たる責任が両性関係の唯一の条件となさるゝの時[#「恋愛と親たる責任が両性関係の唯一の条件となさるゝの時」に傍点]相対関係はその結果として生ずるであらう。
 この理由により、全ての青年は恋愛に於て更らに偉なる要求をなし、父たる権利に対して更らに高き思を抱く様に教育せ
前へ 次へ
全54ページ中48ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ケイ エレン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング