n造とに対する男子の本能が絶えず新しき目的を発見するからである。然るに女子にあつてはその力が等しく内部に向ふのが自然である。
其処に女子は不変の法則によりて母としての最高なる活動の範囲を発見するのである。『男は単に愛すのみ。されど女は愛そのものなり』と詩人が云つてゐる。若し男子がこの点に於て女性的となり、女子が男性的になつたとしたなら性愛の精神的状態である対照は消滅してしまふ、女子がその男子に愛せらるゝ『女らしきこと』とはその内部に向ふ性質を指していふのであり、男子が女子に愛せらるゝ『男らしきこと』とはその外部に向ふ性質を指していふのである。若し大多数の女子が安静なる状態にて生の源泉に留ることを願はず男子と共に全ての海洋を航海せんと欲する時は性の対照はその調和を欠き忽《たちま》ち単調なるものと化し去るであらう。
女子がこれを自覚する迄は仮令へ数万の女子が男子の得意とする仕事をなし能ふとも一方に於て人生と幸福の更らに偉なる事業なる人類の創造と心霊の創造とを閑却し若くは未成に終らしむるが如きことあらば社会にとつて、それが何等の利益でもないといふことが主張されなければならない。これ等の事
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