オて男子は従来男性的の思想及び行動の様式に従つて各自にのみ任かせられ長年月の間女子が人道に貢献した新生命及び女子の深く美はしき感受性によつて創造せられたる新しき智力を浪費し来つた仕事の範囲に於て女子の勢力を奨励するであらう。
仮令へば同一事業に於てその夫の友として婦人の数が次第に増加してゆくではないか。彼等は相互に相提携し補助して彼等一人にして能ふより更らに以上の仕事を完成して行くのである。この協力が恋愛を通じて行はるると同時に新しき思想を有する男女は最早恋愛をもつて他の目的を達するの手段と見做すことは出来なくなつて来る。彼等は恋愛をもつてそれ自からを目的として努力せらるべきものと考へる様になる。何故なれば彼等は自己の恋愛をもつて最早完成せられたりと感ずることが出来ないからである。他の全ての場合に於けるが如く恋愛に於ても彼等は常により高き程度に到達せんと欲してゐるからである。
恋愛が女子の場合に於けるが如く男子にあつて全くその存在を充実せしむるものではないと男子は屡々主張するがそれは誠である。何故なれば男子は自然の要求にせまられて恋愛以外に人生の変化を求めるものである。其処に活動と
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