ページ目に、

「それに、たとえば頭だけ出たところで……」
 と、可哀そうなアリスはこう考えはじめました。
「肩も、一緒に出なけりゃ、なんの役にも立たない。ああ望遠鏡みたいに、からだを畳めたらなア。あたし手始めの、やり方さえわかれば、きっと出来ると思うわ」

 これは、ねえ末起……。あなたが、どんなに※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]いて扉などをさぐっても、このように畳み込めないかぎりは、蟻でもとおれないでしょう。だいいち、アリスにもこう次の行にあります。それはアリスが滅多に出来ないことはないと、かたく信じていたからです――と。どう末起、すこしでも、あなたに無駄骨を折らせまいと、真底からの忠告をします。お止めなさい、そして、次に十二ページ目をあけること。

[#ここから1字下げ]
アリスの右足さま
 爐辺敷物通り
  灰止めの近く
[#ここで字下げ終わり]

 これが、おそらく最終の解答でしょう。あたくしは、暖爐のなかに動かせるところが、一個所かならずあるような気がします。それ以外に、隙間洩る風のような侵入は、どこを見たって考えられないじゃない※[#感嘆符疑問符、1−8−7
前へ 次へ
全25ページ中21ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小栗 虫太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング