な血が吹き出ている仔鹿《かよ》(かよ―上州西北部の方言)の首で、閾《しきい》のかなたからは、燃え木のはぜるような、脂肪の飛ぶ音が聴えてきた。そして、板戸一重の土間の中では、おそらく太古の狩猟時代を髣髴《ほうふつ》とさせる――まったく退化しきってしまって、兇暴一途な食欲だけに化した、人達が居並んでいた。土間の中央には、大きな摺鉢《すりばち》形をした窪みがあって、そこには丸薪《まるまき》や、引き剥がした樹皮などが山のように積まれ、それが、先刻《さっき》から燻《くすぶ》りつづけているのである。そして、太い刺叉《さすまた》が二本、その両側に立てられていて、その上の鉄棒には、首を打ち落された仔鹿《かよ》の胴体が結びつけられてあった。その仔鹿《かよ》は、まだ一歳たらずの犬ほどの大きさのもので、穽《わな》に挾まれた前足の二本が、関節の所で砕かれてい、かえって反対のほうに曲ったまま硬ばっていた。それに、背から下腹にかけてちょうど胴体の中央辺に、大きな斑《まだら》が一つあり、頸筋にも胴体との境に小さな斑が近接していて、ちょうど縞のように見えるものが一つあった。けれども、その二つだけは、奇妙にも、血や泥で
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