た光が落ちていて、それは、瀑布をかけたような壮観だった。そして、その余映《よば》えに、騎西家の建物の片側だけが、わずかに照り映えて、その裏側のほうからまったくの闇が、静かに微光の領域を狭めてゆく。しかし、滝人が家近くまで来ると、どこからとなく、肉の焦げる匂いが漂ってき、今日も猟があり、兄弟二人も、家に戻っているのを知った。十四郎兄弟は、陥穽《おとしあな》を秘かに設《しつら》えて置いて、猟人も及ばぬ豊猟を常に占めていたのである。
騎西家の建物は、充分時代の汚点《しみ》で喰い荒され、外面はすでにボロボロに欠け落ちていて、わずかにその偉容だけが、崩壊を防ぎ止めているように思われた。そして、全体が漆《うるし》のような光を帯び、天井などは貫木《たるき》も板も、判らぬほどに煤けてしまっていて、どこをのぞいてみても、朽木の匂いがぷんぷん香ってくるのだった。しかし、戸口を跨《また》いだとき、滝人は生暖かい裾風を感じて、思わず飛び退《すさ》った。それは、いつも忌《い》とわしい、死産の記憶を蘇《よみがえ》らせるからであった。しかし、そこにあったのは眼窩《がんか》が双方|抉《えぐ》られていて、そこから真黒
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