ジ・エ・アザール》[#ルビは「曲ってる」にかかる]! なんて三リンボウが続きァがるんだと、いずれは、ピストルのご厄介らしくうち悄《しお》れてしまうものもある。しかし、カムポスは気込んだ甲斐《かい》もなく、みごと「平均《バランス》」という賭け札でスッテンテンになってしまった。
それみろ、やっぱり一番違いの解釈はおれのほうが正しい――と、じっと、その意味をこめた目でカムポスをみたとき……思わず折竹がアッと叫ぶようなことが起った。カムポスが札を置くとスイと立ちあがって、諸君と、室中を睨《ね》めまわすように言ったのである。
「僕は、諸君に折り入っての相談がある。見られるとおり、武運|拙《つた》なくカラッ尻の態となったが、まだ僕は屈しようとはせぬ。それは、僕に抵当があったからだ。でまず、その品を諸君にお目にかけるとして、どうか、気に入った方は一勝負ねがいたい」
といって、ポケットから掴《つか》みだしたものをザラザラッと音をたてて、カムポスが卓上に置いたのである。とたんに、室中のものがハッと息をのみ、思わず土まみれのままの燦爛《さんらん》たる光に……ダイヤ、しかも原石! と唖然《あぜん》たる
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