ーレットの金掻き棒《ロード》[#ルビは「金掻き棒」にかかる]の音。二人が、内部のキャバレーへはいると、パッと電気が消える。
※[#「※」は歌記号、第3水準1−3−28、215−9]これは白い《エステ・エ・ブランコ》[#ルビは「これは白い」にかかる] 白いは肌《ペルレ・エ・ブランコ》[#ルビは「白いは肌」にかかる]
と、舞台の歌声とともに緞帳《どんちょう》があがるが、だんだん、その白いというのが肢だけでなくなるというのが、「恋鳩」のナイトクラブたるところだ。それから、キャバレーを出てちょっと口を湿しているうちに、ふいにカムポスがなにを見たのか、ボーイを呼びとめてあれ[#「あれ」に傍点]と顎《あご》をしゃくって見せた。
「君、あのご婦人はなんて方だね」
ボーイは、ちょっとその方向をみるや、にこりと笑って、
「さすが、旦那さまはお目が高ういらっしゃる。あの、ちょっと小柄な金髪《ブロンド》でございましょう。お計らいなら手前致しますが、なんせい、美しいだけに《エー・ボニート》[#ルビは「美しいだけに」にかかる]、ちょっと高価うございますよ《マース・カーロ》[#ルビは「ちょっと高価うござ
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