ニいう、シェーネとエレファンティス間にある二つの山巓――呼んで半月の山脈《モンス・ルーヌラ》[#ルビは「半月の山脈」にかかる]という渓谷の奥にある。その半月の山脈には“Colc《コルク》”という湖があり、バメティクス王が、綱を数千“ogye《オギエ》”も垂れたが底に届かずとある。つまり、ナイルの水源は、その奥にあるというのだ。
 さらにそこには、「盤根の沼《パルス・ラディコスス》[#ルビは「盤根の沼」にかかる]」「知られざる森の墓場《セプルクルム・ルクジ》[#ルビは「知られざる森の墓場」にかかる][#底本7−10、63−13、69−6ではセブルクルムと表記。ここ30−10での表記は誤りか]」があり、矮人《ピクミエン》が棲み有尾人《ホモ・コウダッス》がいる。そしてそれが、場所というのが悪魔の尿溜《ムラムブウェジ》[#ルビは「悪魔の尿溜」にかかる]で、棲んでいる矮小有尾人がすなわちドドとなる――座間がこう結論したのである。
「なるほど、しかしその、むずかしいラテン語を説明してもらおうじゃないか」
「それはね、『盤根の沼《パルス・ラディコスス》[#ルビは「盤根の沼」にかかる]』というのは、錯
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