氏sさくそう》たる根の沼だ。沼が盤根錯綜たる、叢林のしたにあるという意味だ。それから『知られざる森の墓場《セプルクルム・ルクジ》[#ルビは「知られざる森の墓場」にかかる][#底本7−10、63−13、69−6ではセブルクルムと表記。ここ30−15での表記は誤りか]』というのは、巨獣の終焉地《しゅうえんち》だ。死体をみせぬ象や類人猿がそこにきて眠るという。ねえカーク、どっちにしても、悪魔の尿溜《ムラムブウェジ》[#ルビは「悪魔の尿溜」にかかる]じゃないか。しかも、有尾人ドドの故郷だ」
そういえば、カークもそれに似たような土人の伝説を聴いたことがある。ヌグンベという、ドド発見地の近傍の部落だが、そこから悪魔の尿溜の方向にあたる北西かたの山腹に、“Leo《レオ》”という奥しれぬ洞窟があるのだ。――そこが、人類発祥の地だという。つまり、太古のとき動物とともに、彼らの祖先がその洞から出てきたというのだ。
まったく、そういえば数えきれぬほどあるではないか。こういう、無稽な伝説が探検によって裏書きされ、また、そういうものがしばしば因となって、探検欲をうごかし大発見をさせたことが!
ここに……、
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