Xト》とか懐疑主義者というやつは、猟師にはいちばん扱いにくいんだよ。しかし、射殺しただけでも二、三万にはなるだろう」
「じゃ、そのゴリラが……、無数と、死体をならべている渓谷があったとしたら……。ざっと、世界の大学を六百とみて、それに、骨格一つずつ売ったにしても、千万長者にはなれる。だが、それは君の仕事だ。僕の目的は別のほうにある」
「冗談いうな」カークはからからと嗤《わら》いはじめた。
「本気で聴いてりゃいい気になって、そんなとこが、もしあるなら俺が逃すもんか」
「あるとも」座間は自信気たっぷりにいう。
「僕は、友情にかけ君の勇気を信じていう。ところで、君は、ヘロドトスという歴史家を知っているかね」
「むろん、みたことはないが名だけは知っている。ギリシアに、昔いたという博識《ものしり》だろう」
「そうだ。ところが、そのヘロドトスが書いたなかに、ナイル河の水源についてこういうことがある」
ヘロドトスが、ナイルの水源について次のような話を、エジプトサイスの長官からミネルバで聴いたことがある。
ナイルの水源《カブト・ニリ》[#ルビは「ナイルの水源」にかかる]は、クロフィス及びメンフィス
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