ドメ》[#ルビは「蓮中の宝芯」にかかる]」と呼んで登攀《とうはん》をあせるけれど、まだ誰一人として行き着いたものはない。そのうえ、古くは山海経《せんがいきょう》でいう一臂人《いっぴじん》の棲所《すみか》。新しくは、映画の「失われた地平線」の素材の出所とにらむことのできる――まさに西北|辺疆《へんきょう》支那の大秘境といえるのである。
しかし、以上の三未踏地でさえ足もとにも及ばぬという場所がいったい何処《どこ》にあってなにが隠れているのか、さぞ読者諸君はうずうずとなってくるにちがいない。それは赤道中央アフリカのコンゴ北東部にある。すなわち、コンゴ・バンツウ語でいう“M'lambuwezi《ムラムブウェジ》”訳して「悪魔の尿溜《にょうだめ》」といわれる地帯だ。そこには、まだ人類が一人として見たことのない、巨獣の終焉地《しゅうえんち》「知られざる森の墓場《セブルクルム・ルクジ》[#ルビは「知られざる森の墓場」にかかる]」が、あると伝えられている。
ではここで、この謎の地域がけっして私のような、伝奇作者のでたらめでないという証拠に、英航空専門誌“Flight《フライト》”に載った講演記事を
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