民、それから、イルツクの日本語学校で育った儂たちだ。松前の藩から、上陸を拒まれたを機《しお》に、この島に根城を求めたが、今までは一とおり、金髪にも亜麻《あま》色にも……。ええしたが、五大州六百八十二島の中で、ものもあろうに緑の髪の毛とは……」
 しかし、そうしているうちに、横蔵の眼は、ほとんど痛いくらいに、チカチカしはじめた。
 見ると、女はよろよろ歩き出して、夢中に藻の衣を脱ぎ続けるのだ。
 唇《くちびる》をキュッと結び、寒気を耐えるように、両腕を首の下で締めつけると、ずるりと落ち、荒布《あらめ》の下から、それは牝鹿《めじか》のような肩が現われた。乳房は石のように固くなっていて、高まり切った乳首、えくぼのような臍《へそ》、それを中心に盛り上がった、下腹部の肉づきのみずみずしさ。
 彼女の動作は、大きく弱々しく、ほどよく伸びた腓《ふくらはぎ》が、いまにも折れそうになっていく。
 しかし彼女は、横蔵を眼に止めたとき、はじめて――それも本能的に、羞恥《しゅうち》の姿勢をとった。はじめは、メディチのヴィナスのように、片手を乳の上に曲げ、他の伸ばしたほうの掌《て》を、ふさふさとした三角形《デル
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