息相加へ元利共急返納可被為候尤も御霊屋御用御大切之趣左衛門尉具さに承知の上預申被公務相弁候上は仮令領分水害旱害等不及申其外公私に付如何の異変有之候共右日限の通聊か相違無返納可被申候且又連印役向之者臨時役替等被申候は引請候後彼立者早速御届申候為後証仍如件
慶応三年九月
酒井左衛門尉内金方[#地から3字上げ]竹岡半兵衛
[#地から3字上げ]郡代 正田弘右衛門
[#地から3字上げ]小姓頭 榊原隼人
前書之通相違御座無候以上[#地から3字上げ]家老 松平権十郎
増上寺御霊屋御年番念仏院宛[#地から3字上げ]引受 清光寺
この証書でみると、大名の借金というのは下々《しもじも》の場合と異なり、預申金子之件と書くものであったらしい。借金するにも、大名の面目は忘れなかったものと見える。だが、辛《つら》いことには領内に水害があろうが旱魃《かんばつ》があろうが、そんなことにはお構いなしに返済するとある。また、公務の上にどんな間違いがあっても、借りたものは借りたものであるから日限に偽《いつわ》りはない、と固く契約している。清光寺という寺の口入れで酒井侯は霊廟の別当に近づいたのであるから清光
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