た。私の家は山の手で地盤が堅いとかいう事で、瓦《かわら》の一部が落ち、壁に破目が出来た位で、さしたる障《さわ》りもありませんでした。団子坂のお家も無事でした。その後お嫂様《ねえさま》にお目にかかった時、「去年御病気の終りの頃、こんな騒《さわぎ》があったなら、どんなにお気の毒な思いをしたでしょう」と、お話した事を思い出します。
翌十三年十月全集の第二巻が出ました時、平野氏の書かれた編纂《へんさん》後記に、
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本書第一巻を出してより一年有半、蒐集《しゅうしゅう》及整理|漸《ようや》く終を告げ、今や本巻|並《ならび》に之《これ》に続くべき第三巻を印刻する運びとなれるは編者の最も喜ぶ所なり。如何《いかん》と言ふに其《その》間に昨年の大震大災あり、我が寓《ぐう》亦《また》その禍を免る能《あた》はず、為に材料一切を挙げて烏有《うゆう》に帰せしめたる事実あればなり。当夜我僅に携へ得たる所の鞄《かばん》一個あり。本書の未《いま》だ整理せられざる切抜の一部と仮目次とを容《い》れたり。乱擾《らんじょう》尚全く平ぐに及ばず、剣戟《けんげき》の声|鏘鏘《そうそう》たる九段坂上《くだんさ
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