鴎外の思い出
小金井喜美子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)老耄《ろうもう》して

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)時々|甲高《かんだか》い

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「塞」の「土」に代えて「衣」、第3水準1−91−84]《たく》って

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)なか/\おもしろき事
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

    序にかえて

[#ここから3字下げ]
あやしくも重ねけるかなわがよはひ
    八十四歳一瞬にして
[#ここで字下げ終わり]
 これは今年の正月の私の誕生日に、子供たちが集った時に口ずさんだのです。
 いつか思いの外に長命して、両親、兄弟、主人にも後れ、あたりに誰もいなくなったのは寂しいことですが、幸いに子供だけは四人とも無事でいますのを何よりと思っています。近親中で長生したのは主人の八十七、祖母の八十八でした。祖母は晩年には老耄《ろうもう
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