はつの祈ってくれたせいですか、私は今に丈夫で暮しています。
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普請中
戦災後十年を過ぎて、焼け失《う》せた曙町の旧宅跡に、ようよう普請をする運びになりました。何にせよ五十年間住んだ土地ですから、周囲の様子はどんなに変っても、なつかしさには変りがありません。とはいうものの、地境《じざかい》になっていた大きな杉並木もなくなったばかりか、そこらの人が根まで掘って薪《まき》にしたというのです。まして軒端《のきば》に颯々《さっさつ》の声を立てた老松を思い浮べますと涙ぐまれます。ただ一面の焼野原になったのですから、今ある五、六尺以上の木は、どれも皆近年住みついた人たちが植えたのでしょう。昔の土井の邸に名高くて、遠方からの目印になった二本杉の馬場のあたりには幼稚園が出来て、毎日子供たちが遊んでいます。ここらは以前は暗いほど樹木が茂って、夜は梟《ふくろう》の声が物凄く、草原には雉子《きじ》が羽ばたいていたところだったのです。「庭木の移植には時期がありますから」と、庭師が来て、石灯籠を崩したり、庭のそこここを掘返したりいたします。それで、「一番最初に庭木がお引越ですね」といい
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