ますからといいましたが、この不自由な体で行く気はない。お前がする通りに己《おれ》もするといいます。実は私としても、跡に残して行くのは心がかりですから、それならと話し合って来ました。」
はつはそういうのです。私はこれまでこんな話をしかけられたことはなし、重々気の毒とは思うけれども、どうしてやる力もなく、思案に暮れるばかりでした。
「まあ、そう思詰《おもいつ》めないでもよいではないか。どうかして上げたいのは山々だけれど、檀那様《だんなさま》はお前も知っている通り、お金の取れる仕事ではないので、どうにもならないが、一体どれくらいあったら凌《しの》いで行かれるの。」
かように尋ねますと、今までは父の地面に小さな家があってそこにいたけれど、今度義理のある親戚《しんせき》をそこへ入れねばならなくなり、弟も事情があって断れないでいるとのことで、「少しずつでも遣ったら、また置いてもらわれましょうか」といいます。
「そうかい。私のことだから、大したことはして上げられない。お前を御贔屓《ごひいき》の御隠居様も亡くなって、相談する人もなし、私の心ばかりだけれど、毎月送って上げよう。」
私はそういって、
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