か」と聞きます。
ちか子は産婆の方の免状も取って、アメリカへ渡って都合よくしているのでした。その話をしますと、「結構ですね。若いに似合わずしっかりした人でしたから。おついでに宜しくおっしゃって下さいまし」といって、帰って行きました。
それからはつは度々尋ねて来るようになりました。けれども折角新しい生涯に入ったのに、運が悪いらしく、一、二度|引越《ひっこし》もしましたが、その度に粗末な家になって行きます。初音町《はつねちょう》辺の裏にいた時に尋ねて行きましたら、ずいぶんひどい家にいました。それでもはつが住めば綺麗になるので、よく片附いた部屋で、茶を入れて出してくれました。
その頃でしたか、古い袴《はかま》を持って来たことがありました。「洗張《あらいはり》でもするの」と聞きましたら、「これは主人のために探して来ました」といいます。或神社のお札配りの仕事を見附けましたが、お社《やしろ》の仕事だから袴をはくのがよかろうと思ったのです。「脚はかなり丈夫ですから」とのことでした。しかしこの仕事も続きませんかった。何しろ目が悪いのですから、標札を読むのに時間がかかるので、一月ほどで止《や》めて
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