になり、人に重宝がられて、忙《せわ》しく暮している内に貯金も出来ました。ところが今少しというところで、附添った患者の病気が感染して、一時は重症にも陥りました。ようやく快方に向いましたものの衰弱が甚しく、貯金も尽きはててしまい、どうにも困り切った時に、或親切な人が金を出して下すったので、それから百日ほど静養して、健康に復しました。
その親切な人というのは九州の生れで、相当の暮しをしていたのですが、あまりに正直過ぎて事業にも失敗し、その上に目を患って、端《はた》から見ては分らないのに、はっきり物が見えないのです。そんなですから人の不幸にも同情する気持が強くて、惜し気もなく金を出して下すったのでした。その人は本郷の済生学舎の近くに的場《まとば》を遣っていられました。
全くの命拾いをしたはつが、どうお礼をしたものかと、人に相談しましたら、「あの人は身寄《みより》もなくて寂しく暮していられるのだから、あなたが一緒になって、世話をして上げたらどうか」とのことでした。それで勧められるままに、はつは結婚したのでした。
その主人と一緒に的場をやっているのですが、的場には天井がないので、空地《あきち
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