て、手紙の本などを見ては写しています。もともと学校の出来もよくて、知識慾が盛んで、もっと勉強したがっているのでした。
それで二年ばかりして、大学で看護婦の募集をすることがありました時に、主人が試験を受けさせましたら合格しましたので、本人も喜んでそちらに勤め、暇があれば何かと勉強しています。休日には尋ねて来て、先生方の講義の様子とか、身分のある人が入院した時に附添った時のこととか、そんな話をします。だんだんに世馴れて、怜悧《れいり》になるようです。
その様子を見聞きして、はつは羨《うらやま》しくなったのです。それで暇を取りましたが、看護婦にはなれないものですから、雑仕婦《ぞうしふ》になって、あちこち転々している由を人伝《ひとづ》てに聞いているだけで何年か立ちました。そうしたら或夏の夜に、葡萄《ぶどう》を沢山持って、尋ねて来てくれました。
「家でなったのですが、割合においしいので」といいます。
「では今田舎にいるの」と聞きますと、「いいえ、本郷《ほんごう》です」というのです。
はつが落附いて話すのを聴《き》きましたら、雑仕婦をしてあちこちへ出掛ける内に、看護婦まがいのことをするよう
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