ことじ》にも使われましたが、三絃《さんげん》の盛んな頃はそれに使う撥《ばち》の需要が夥《おびただ》しいのでしたから、撥|落《おとし》が根附の材料に多く使われたのですが、低級の人が用いるので、名のある人たちが、皆良質の品を厳選したのは無論のことでしょう。いつどこで求めたのか、その三角落しの根附が一つありました。大分古びています。ならず者ででもありましょうか、裾《すそ》を帯に高々と挟んで、足を二本ずっと出しています。頭は月代《さかやき》が広く、あお向いた頸元《くびもと》に小さな髷《まげ》が捩《ねじ》れて附いていて、顔は口を開いてにこやかなのは、微酔《ほろよい》加減で小唄《こうた》でもうたっているのかと思われました。身を斜に片方の肩を少しあげているのが、三角をよく利用したものと思います。これも面白いと申しました。その象牙は大分黄ばんでいましたが、産地によるのか、採集時によるのでしょう。
 同じ象牙彫でも、山水の形を細かに彫って、立木があり家があり、よくもこんなにと思うようなのもあります。まさか天使でもないでしょうが、可愛らしい子供が、太った手足を出してしゃがみ、薄衣《うすぎぬ》らしいものを頭
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