が今度は根附になったので、その本の根附の処を頻《しきり》に見るのでした。
 日本に仏教が盛《さかん》になってから、仏像の彫刻をするために、優秀な技術の仏師が渡来して、その発達も目ざましく、相好《そうごう》の荒々しいのも柔和なのも、種々な傑作が今の世までも残されているのですが、それに由来して日本人独得な緻密の性能から、根附のような彫刻も始まり、江戸時代には隆盛を極めたようです。あたかも鎖国時代の事で、外国の影響は少しも蒙《こうむ》らないで発達しましたから、西欧人が珍重して研究するはずだと思います。
 根附は提物《さげもの》の根元に附けるために用いるので、昔の燧袋《ひうちぶくろ》から巾著《きんちゃく》、印籠《いんろう》、煙草入の類を帯と腰との間を、吊《つる》す紐《ひも》の端に取りつけたものです。『装剣奇賞』に、「佩垂《はいすい》の墜《つい》に用ゆ」とあります。
 形彫《かたぼり》根附といわれるのは、人物動物などを形のままに彫刻したもので、一番数が多いようです。饅頭《まんじゅう》根附といって、円形の扁平《へんぺい》なものもあり、また吸殻《すいがら》あけといって、字のように煙草の吸殻をあけるた
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