いました。木彫の馬と牛とでしたろう。それがひどく気に入って、つくづく眺めておりましたが、いつまでも飽きないと見えて、後には机の上に置いてありました。
或時何かの会があって夜帰った時、すぐに服を脱がず、かくしに手を入れて、何か握って笑っています。著替《きがえ》を持って傍にいた私は、何となく片手を出しましたら、その上に置かれたのは小さな一つの根附でした。私の不審そうな顔を見て、「あまりいい夜だからぶらぶら歩いていたら露店にこんなものがあったから」といいました。「こんなことをするのではあるまいか」といいながら、ざっと水をかけで拭《ふ》き取ってから、柔かな裂《きれ》を出させて、頻《しき》りにこすっていました。それは鳩らしいと思いました。鳩というものは可愛らしいはずなのに、目付《めつき》がどうも強いのです。簡単な彫りですから、他の鳥なのかもしれません。これが根附を集める始めでした。
私が小さくて向島に住んでいた頃、父が医者だというので、或人が、真白で親指の頭位ある小さな髑髏《どくろ》を持って来て見せました。あまり見事なのでよく見ましたら象牙彫《ぞうげぼり》の根附でした。その人のいいますのに、
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