る日に、台湾の於菟さんに潤三郎の近況を知らせようと手紙を書いていましたら、そこへ当人がひょっこり尋ねて来ました。
「まあ、もう出歩くのですか。無理でしょうに」といいますと、「痛みも取れてあまり退屈だから出て来ました。神田《かんだ》の本屋に用があるので、ついでに寄ったのです」というのです。
食事時になりますけれども、時節がら何もありません。何しろ寒いのですから、お雑炊《ぞうすい》を作って出しましたら、「これで温かになります」と、ふうふう吹いて食べておりましたが、その横顔はめっきりと痩せが目立っていました。
帰ります時に、玄関まで送って出て、「病気の挙句《あげく》だから、気を附けて早くお帰りなさい」と書いて見せましたら、「うんうん」とうなずきました。悪くならねばよいがと、後姿を見送ったのですが、それが宅へ来た最後となってしまいました。
潤三郎が帰ると、間もなく雪が降出しました。案じられるものですから手紙を出しましたが、この頃は郵便も手間取るので、二十七日にやっと返事が来ました。「あれから帰りに新富町《しんとみちょう》の友達の家で話す中に雪となり、帰ったら病気が再発してまた医者通いをし
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