氏の力作で、博文館で文界十傑を募集した時当選したのに対して、損得を離れて製作せられたものでした。長く処を得なかった胸像もよく掃除せられ、黒|花崗《かこう》と耐火煉瓦とを四角に積重ねた美しい台の上に据えられて、晴上った日に照らされ、つぎつぎと花を捧《ささ》げる小さな曾孫たちを笑顔で見下されているようです。
私は近来耳が遠いのですから、佐佐木氏のお歌を始め、つぎつぎとお話下さる皆様のお言葉がはっきり聴分《ききわ》けられなくて残念です。そんなわけですから、近頃は人の集まる処へは出ないことにしています。もし出れば無言劇でも見るような気になっているより外はありません。耳が遠いといえば尾崎行雄《おざきゆきお》氏が与謝野《よさの》さんの歌会へお出になって、いつも聴音器(イヤホーン)を卓に置いていられたお姿を思出すので、私も使って見ましたが、工合よくまいりません。それで今日もぼんやりしていたのですが、傍の孫が袖《そで》を引くので、見返ると岡田八千代《おかだやちよ》女史が笑顔で立っていられました。これこそ三十余年ぶりにお目にかかるのですが、ちっともお変りになりません。
碑の建ったあたりは、母がいつも
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