ました。上野の八百善《やおぜん》へ行ったのでした。料亭も、その時始めてはいったのでした。樹が繁っていますから月はよく見えなくて、葉隠れに光が射《さ》すだけです。ただおずおずと珍しい御馳走《ごちそう》をいただいていました。お嬢さんは平気です。いつもお出《いで》になるのでしょう。
 或時宮内省からのお使が、女官のお手紙を持って来ました。中奉書《ちゅうぼうしょ》の二つ折に美しい散らし書《がき》で、なかなか読めません。
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ちか/″\くれのおめでたさ、どなたも同じ御事に悦入《よろこびいり》まゐらせ候。弥《いよいよ》御勝《おすぐれ》あそばし、寒さの御障《おさわ》り様もあらせられず、御さえ/″\敷《しく》入らせられ候御事、数々御めで度く、御よろこび申上げまゐらせ候。左様に候へば、此御まな料、まことに麁末《そまつ》の御事におはしまし候へども、歳末の御祝儀申上まゐらせ候しるしまでにさし上まゐらせ候。なほ幾久しくまん/\年までも相変らずといはひ入まゐらせ候、すゑながらどなた様にもよろしく御申伝へ戴《いただ》け候やう、ねがひ上まゐらせ候。御目録にて失礼の御事、よろしく御断《おことわり》
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