したが、すらりとした立姿、おすべらかしに緋《ひ》の袴《はかま》、宮中へ参内の時のお姿でしょう、お品がよくて立派なものでした。御主人が侏儒のお体に大礼服を召したのとお並びになったら、どんなでしたろうか。それはそれは大切な奥様でしたが、ふとした病気でお亡くなりになったのです。お医者もそれほどの大事とはいわなかったそうで、いよいよ御臨終という時傍らにいたお医者に大喝して、「帰れ」といわれたそうです。さぞかし残念に思召《おぼしめ》したでしょう。
 最初の奥様のお子に逸人《はやと》様という御養子をなすって、お孫様もありました。逸人様は地方のお勤めですが、御邸内に広いお家がありました。御上京の折のお住いです。
 お邸には若くて美しい御召仕《おめしつかい》がいまして、六つか七つくらいのお嬢様がありました。祖母などは、親しげにお名前を呼んで、お心やすくしていました。夕方お馬車の音を聞くと、そのお嬢様と御一緒に走り出てお迎えをします。お体が小さいので、馬丁が扉を開けてから、お下りにならなければお姿は見えません。往来の人は空《から》馬車が走ると思っていたといいます。
 始めて伺った時には、前日お客来だった
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