になります。
[#ここから2字下げ]
拝読。良精君近頃健康|不宜《よろしからず》候こと承候へども、仰《おおせ》のとほり存外険悪に及ばずして長生せられ候事も可有之《これあるべし》と頼み居候。又々牛の舌御恵贈の由、不堪感謝《かんしゃにたえず》候。翻訳材料となるべき書籍二三、別紙に認《したた》め上《あげ》候。南江堂に可有之候。『明星《みょうじょう》』は当方へも新年に投稿|可致旨《いたすべきむね》申来候。然し何も遣《つかわ》すべきものも無之候。近頃井上通泰、熊沢蕃山《くまざわばんざん》の伝を校正上本せしを見るに、蕃山の詞に、敬義を以てする時は髪を梳《くしけず》り手を洗ふも善を為す也《なり》。然らざる時は九たび諸侯を合すとも徒為《とい》のみと有之候。蕃山ほどの大事業ある人にして此言始めて可味《あじわうべく》なるべしと雖《いえども》、即|是《これ》先日申上候道の論を一言にて申候者と存候。朝より暮まで為す事一々大事業と心得るは、即|一廉《ひとかど》の人物といふものと存候。偶々《たまたま》感じ候故|序《ついで》に申上候。荒木令嬢の事、兎《と》も角《かく》も相迎《あいむかえ》候事と決心仕候。併《しか》し
前へ
次へ
全292ページ中185ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小金井 喜美子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング