した。
[#ここから2字下げ]
拝呈。先日は御細書《ごさいしょ》下され候のみならず、其前後に色々御送寄|奉謝《しゃしたてまつり》候。然るに先日の御書状あまりに大問題にて一寸《ちょっと》御返事にさし支《つかえ》、不相済《あいすまぬ》と存じながら延引いたし居候内、今年も明日と明後日とのみと相成《あいなり》申候。家内の事は少なりと雖《いえども》、亦久慣の勢力重大なるため、改革の困難は国家と殊《こと》ならずと存候。先頃《さきごろ》祖母様を新築の一室に遷《うつ》しまつらんとせしとき祖母様三日も四日も啼泣《ていきゅう》し給ひしなど御考|被下《くだされ》候はば、小生が俄《にわ》かに答ふること出来ざる所以《ゆえん》も御解得なされ候ならんと存候。兎角《とかく》は年長の人々を不快がらせずに、出来る丈《だけ》の事をなすといふに止《とど》め度者《たきもの》と存じ候。然乍《しかしながら》御手紙|参《まいり》候ごとに一寸御返事に困るやうなるは、即《すなわ》ち真直に遠慮なく所信を述べて申越され候為にして、外に類なきことと敬服いたし候事に候。小供《こども》も次第に多くなりし為、文事にいとまなきよし承候。これも又似たる
前へ 次へ
全292ページ中180ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小金井 喜美子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング