」などと、笑いながらおっしゃいましたが、忽《たちま》ち上達なさいました。次の手紙は母|宛《あて》になっていますが、私のために書かれたものなので、母はすぐに団子坂から曙町まで持って来られて、「これはお前の教科書だよ」といって渡されたのでした。
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十日の御書状拝見|仕《つかまつり》候。庭の模様がへ、北村のおくりし朝顔の事など承《うけたまわり》候。おきみさんより同日の書状まゐり候。家事(姑《しゅうとめ》に仕へ子を育つるなど)のため何事(文芸など)も出来ぬよしかこち来《きたり》候。私なども同じ様なる考にて居りし時もありしが、これは少し間違かと存じ候。おきみさんの書状を見るごとに、何とかして道を学ぶといふことを始められたしと存《ぞんじ》候。道とは儒教でも仏教でも西洋の哲学でも好《よ》けれど、西洋の哲学などは宜しき師なき故、儒でも仏でもちと深きところを心得たる人をたづねて聴かれ度《たく》候。毎日曜午前位は子供を団子坂にあづけても往かるるならんと存候。少しこの方に意を用ゐられ候はば、人は何のために世にあり、何事をなして好《よ》きかといふことを考ふるやうにならるるならん。考へだに
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