戸《こうしど》を透して、大勢の職人が忙し気に働いているのが見えます。そこで乾いた品を少し買います。祖母が千住へ行く時、弟への土産《みやげ》のためです。木の葉の麺麭《パン》といって、銀杏《いちょう》、紅葉《もみじ》、柿の葉などの形の乾いた麺麭に、砂糖が白く附けてあるのが弟の好物でした。
名高い粟餅屋《あわもちや》もすぐ傍です。先に歩いていられた祖母が振返って、「きょうはよかった。気を附けていても、近頃は休んでばかりいたのに。さあ、見て行きましょう」といわれます。「何ですか」という私の手を引っぱって、程好《ほどよ》いところに立たれます。広い店の奥まったところに、三人の職人がそれぞれ木鉢を前にしています。その木鉢は餡《あん》と胡麻《ごま》と黄粉《きなこ》とになっているので、奥にいるのが粟餅をよいほどにちぎっては、その三つの鉢へ投げるのです。調子づいて来ると、その早いこと、小鳥の落ちるようだといいましょうか、蝶《ちょう》の舞うようだといいましょうか、ひらひら落ちるのがちっとも間違いません。実に熟練したものです。感じ入って見詰めていますが、近所の人には珍しくもないようです。それは見馴れているか
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