《や》せたのが高いといいます。」これを聞いた私は、「まあ」と呆《あき》れました。哀れに見える方がお金が貰《もら》えるのでしょう。
 もうそろそろ外れという処に植木屋がありました。小さな草花の鉢が並んでいるかと思いますと、根に土を附けたまま薦《こも》で包んで、丈の一間くらいもある杉とか、檜とかいう常磐木《ときわぎ》も廻りに立ててあります。如露《じょうろ》で水を沢山にかけるので、カンテラの光が映ってきらきら光ります。
 そこの正面がお堂なので、定がお参りする間待っていますと、植木を買おうとしている人もありますが、始めは法外なことをいうらしく、買手の方でもむやみに値切ります。それでは売られぬという、買われぬという、さんざん押問答の末に立去ろうとしますと、急に、「負けます、負けます」と呼止めて、やっと話が纏《まとま》ります。初めからお互に相当の値をいったらと思いました。でもそれが縁日の景気になるのでしょうか。
 裏門を出ると狭い土手です。定がいいました。
「ここからずっと行くと私の家の方です。」
「西新井《にしあらい》といったね。」
「ええ、お大師様のある処で、大きな植木市が立ちますよ。そら、
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