ら暫《しばら》く外へ出て休んでいました。
夜お父様にお話したら、「それはその人の体質だよ。知らずに芫菁のいる木の下に休んでも、すっかり負ける人もある」とおっしゃいました。芫菁は発泡に使うのです。その書生さんは山本|鼎《かなえ》さんのお父さんで、修業中に手伝いをしていられたのでした。
庭には立木が多いのですが、その間の何もない処を選んで、高い台の上に備前焼らしい水瓶が据えてあります。平常は栓《せん》がしてありますが、雨が降って来ますと、亜鉛の漏斗《じょうご》の大きなのを挿入れます。夕立の激しく降る時にはひどい音がしますし、霰《あられ》などは撥返《はねかえ》って、見ているのが面白いのでした。雨が止みますと取下して、硝子の瓶に相当の漏斗をさし、濾紙《こしがみ》を敷いて静かに濾《こ》すと、それはそれは綺麗な水が出ます。真水でいけない時に、蒸溜水の代りにそれを使うのでした。
移転後|暫《しばら》くするにつれて、患者が来るようになりました。午後の往診も度々あって、代診の人たちもなかなか忙しく、自然収入も多くなるのでしょう。そんなことが続くと、お父様は、「きょうは奢《おご》ろう」と、皆を連れて
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