お出かけです。私も一度だけ連れて行かれました。その時は浅草でした。私はお父様と一緒に家の車に乗り、書生さんたちはそこらで拾って乗ります。男ばかりだからと、黄八丈《きはちじょう》の著物《きもの》に繻子《しゅす》の袴《はかま》でした。お母様たちと出る時は、友禅のお被布《ひふ》などを著せられます。その日はまず江崎へ寄って写真を撮りました。それからそこらの料理屋へ這入って、皆にお飲ませになります。お父様は一猪口《ひとちょく》くらいしか召上らないので、私が口取《くちと》りを食べている傍で、皆の様子を機嫌よく見ていられます。車夫もその日は優待です。お母様のおみやげは折詰でした。
「当分はまた働いてくれるよ」と、後でお父様はおっしゃいました。出来て来た写真を見ますと、皆まじめな顔をして、袴をはいて並んでおり、私はおかっぱ頭を少しかしげて、お父様にくっついています。車夫は背が非常に高いので、端に立っているのが、鎗《やり》を立てたようだと、皆で笑いました。その写真は近年まで持っていましたが、今あったらさぞ面白いでしょう。
私の通う小学校までは、一町ばかりです。二階建の校舎がまだ新しくて、さっぱりしてい
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