いて、量を計っては患者に渡します。
 千住の家では、凸凹《でこぼこ》の金属の板を張ったのに、細長くした材料を横に入れ、同じような板の両端に把手《とって》の附いたので押して、前後に動かしますと、二、三十粒の丸薬が一度に出来ます。大変重宝のようですが、手製の方がしっかり出来るということでした。しかし今は薬局生が拵えますから構いません。
 きょうは膏薬の原料を拵えるというと、外へ火を持出して、鍋《なべ》に白蝋《はくろう》を入れて煮立てます。外にも何か這入《はい》るのかも知れません。十分に溶けた時に鍋を下して、さめてから器に入れて置きます。単膏という札が貼《は》ってあります。水銀とか、芫菁《げんせい》とか、それぞれ薬を入れて煉るのです。よく膏薬|篦《べら》といいますが、なかなかしっかり出来ていて、それでよくしないます。まあ今のナイフのようです。
 或時書生さんがお勝手まで駈《か》けて来て、真赤な顔をして、頻《しき》りに嚔《くさめ》をして苦しそうなので、「どうなすったの」と聞きましたら、「今薬局で芫菁を磨《す》っているのですが、どんなに我慢をしても、あれには叶《かな》いません」とのことで、それか
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