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冬になりますと、男の子たちは柵《さく》から抜出して、田圃の稲株の間に張った厚氷を、石で割って持って来ます。お辞儀をしてそれを分けてもらってはしゃぶりました。よく中《あた》らなかったことと思います。
教室の数はかなりあったようです。お兄さんは上の級にいられて、成績はいいがいたずらだといわれていました。今も覚えているのは読方の時間です。先生が一くぎりずつ読まれますと、二、三十人いる男女の生徒が、一緒に続いて読むのですが、妙に節を附けて読む先生の癖をまねて、その賑かなこと、学校の傍を通る人が立止るほどでした。
少しして小梅村へ引移りました。二百余坪の地所に、三十坪ばかりの風雅な藁屋根の家でした。それまでは何しろ往来に近い手狭《てぜま》な家で、患者が来ますと困るからです。今度の家は大角とかいった質屋の隠居所で、庭道楽だったそうで、立派な木や石が這入《はい》っていました。人の話を聞いてお父様がお出かけになって、一度御覧になったらすっかりお気に入って、是非買うとおっしゃいます。曳舟《ひきふね》の通りが田圃を隔てて見えるほど奥まった家なのですから、私の学校へも遠くなるし、来る病人も困るだ
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